同位体のお話

巷のニュースを読んで、(個人的に)忘れていたこともあったので、ノート。今日の目標は

ウラン235とか、ウラン238の「235」、「238」という数字

を理解すること。

  • 「原子」のモデルの復習

 高校で習う化学(chemistry)の復習なんですけれど、原子ってのは、大雑把に

    • 陽子(proton)
    • 電子(electron)
    • 中性子(neutron)

という3つで作られます。で、「陽子」と「中性子」たちがくっついて「原子核(nucleus)」を作り、その周りを電子がくるくる回っている感じ。*1取り敢えずは、太陽の周りを水星、金星、地球がたち回っているようなイメージ。*2で、それらの質量は、

陽子≒中性子≫電子

なので、「原子の質量」は、ほぼ陽子と中性子の数で決まります。この陽子と中性子の数を「(原子の)質量数」と呼びます。また、原子は「陽子の数」で決まります。

ってことで、ウラン235というのは、この「(原子核の)質量数が235」、つまり陽子と中性子を数えると235個ありますよ、という意味。

ところで、一般に原子は陽子の数で性質が大きく異なることが知られているため、陽子の数ごとに原子の名前がつけられています。
水素(H)の陽子数は1、ヘリウム(He)は2、、、など。原子記号で書くと

_1H_2He

それらの質量数は、水素が1、ヘリウムが4だったりします。
水素とヘリウム「陽子数」と「質量数」に開きがありますね。実は質量数が2や3の水素も存在してて、順に「重水素」、「三重水素」と呼ばれます。ちょっと頭を使えば、

(フツー)の水素_1^1H → 陽子1つ、中性子ナシ
重水素_1^2H → 陽子1つ、中性子1つ
三重水素_1^3H → 陽子1つ、中性子2つ

です。このように

陽子数は同じだけれど、中性子数が異なる原子のことを同位体(isotope)と呼ばれます

ここまで説明すれば、おおかた想像が出来ているかと思いますが、

ウラン238は、質量数、つまり陽子数+中性子数=238の原子のこと

です。因みに、原子番号は92(つまり陽子数=92)です。
ここまでお読み頂ければ、Wikipediaの「ウラン」のページの冒頭の文章は理解出来ると思います。

天然に3種類の同位体が存在し、いずれも長い半減期(数億年〜数十億年)を持つ。地球上で最も多く存在するのはウラン238(存在比 99.275 %)であるが、原子力発電の燃料に使われるのはウラン235(同 0.72 %)である。ウラン235は、唯一天然に産出する核分裂核種として、原子力利用において極めて重要である。命名は、同時期に発見された天王星の名に由来する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3

次回は、気が向いたら(?!)核分裂反応式の話を書いてみます。


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*1:(本格的には大学で習うはずの)量子力学とかの話を置いといて、ここではそれらがボールみたいな形をしていると仮定します。

*2:細かい話をし出すとキリが無いので、あくまでイメージです